2025年3月26日、トランプ大統領が日本を含む全ての国からの輸入自動車に25%の追加関税を課す大統領令に署名し、4月3日から施行されることとなりました。
この施策は、突然行われたわけではなく、日米首脳会談時にトランプ大統領は石破総理への問答でも関税の可否について言及しておりました。
この政策変更は、日本の中古車輸出業界に大きな波紋を広げています。
特に注目すべきは、製造から25年以上経過した車両については追加関税の対象外となることが確認されたことです。2000年以前に製造された「JDM旧車(Japan Domestic Market:日本市場向けに作られた車)」の需要に新たな展開が予測されております。
この記事では、新たな関税政策が日本の中古車輸出にどのような影響を与えるのか、市場の現状と今後の見通しを徹底解説します。
トランプ大統領の自動車関税政策:概要と背景

トランプ大統領は2025年3月26日、日本を含む全ての国から輸入される自動車に25%の追加関税を課す大統領令に署名しました。
この新たな関税政策は、従来の関税率2.5%(トラックは25%)に上乗せされ、合計で乗用車は27.5%、トラックは50%の輸入関税がかかることになります。
さらに、エンジンやトランスミッションなどの基幹部品も追加関税の対象とされ、自動車産業全体に大きな影響を与えることが予想されています。
【注】4月3日に発動が予告されている自動車関税
米国に輸入される自動車全てに、追加で25%の関税をかける。エンジンやトランスミッション・パワートレインなどの基幹部品にも25%の追加関税をかける。自動車部品の関税対象は今後、拡大していく方針。
トランプ大統領はこの措置について、「恒久的なもので、例外措置について交渉することに興味はない」と断言しており、単なる交渉カードではなく、「今後4年間でアメリカを製造業の超大国にする」という公約の一環と位置づけられています。
この政策は「相互関税」と呼ばれ、「彼らが我々に課すものは何でも、我々も請求する」という考え方に基づいています。
4月3日から発動したこの関税措置は、アメリカ国内でも混乱を引き起こしており、発動前には中古車販売店に駆け込みで日本車を購入する消費者の姿も見られました。
「25年ルール」と中古車輸出の現状分析

アメリカには「25年ルール」と呼ばれる規制があり、25年以上経過した車でなければ基本的に輸入できないという決まりがあります。
この規制は今回の関税政策の中でも維持されることが確認されており、2025年現在では2000年以前に製造された車両のみが輸入対象となります。
重要な点として、製造から25年以上経過した車両(2000年以前製造)については、今回の追加関税の対象外となることが正式に確認されたことです。
これらの車両には従来通り、乗用車は2.5%、トラック(軽トラックを含む)は25%の関税が適用されます。これは自動車輸出業界にとって一定の救済措置となっています。
この「25年ルール」があるため、日本の比較的新しい中古車がアメリカへ輸出されにくい状況は今後も続くと予想されます。
一方で、このルールがあるおかげで「JDM旧車」(Japan Domestic Market:日本市場向けに作られた車)のブームは継続すると考えられています。
2000年以前のスポーツカーや、意外にも軽トラックなどの人気モデルが輸出対象となっており、これらの需要は関税政策の変更にもかかわらず維持される可能性が高いとされています。
追加関税が中古車輸出業者に与える影響

今回の追加関税措置は、日本の中古車輸出業者に様々な影響を与えることが予想されます。
特に2000年以降に製造された比較的新しい車両を扱う輸出業者にとっては、25%の追加関税が大きな負担となるでしょう。
当社からお送りしたメールでも記載しましたが、日本から出荷した車両の米国への到着予定日が2025年4月3日以降である場合、新しい25%の関税率が適用される可能性があるとされています。
ただし、2025年4月3日以前に到着し、米国の税関手続きを済ませている場合は、旧関税率が適用されるとのこと。
これにより、発動日前に駆け込みで輸出手続きを急いだ業者も多かったと推測されます。
輸出業者としては、今後は25年以上経過した車両に特化したビジネスモデルへのシフトや、北米以外の市場への展開を検討する必要があるでしょう。
また、関税の影響を最小限に抑えるための物流・通関戦略の見直しも急務となっています。
消費者への影響:日米両国の市場変動

新たな関税政策は、日本とアメリカ両国の消費者にも大きな影響を与えています。
アメリカでは輸入車の価格上昇が予想され、特に日本車を求める消費者にとっては大きな負担増となります。
関税導入前には、アメリカ国内の中古車販売店で駆け込み需要が発生し、日本車を購入する消費者の姿が見られました。
長期的には、新車価格の上昇により、アメリカ国内の中古車需要が増え、結果的に「日本からの旧車輸入ブーム」がさらに加速する可能性もあります。
一方、日本国内では、アメリカ向け輸出の減少により国内に流通する中古車が増加し、価格が下落する可能性もあります。
特に、輸出できなくなった2000年以降製造の中古車については、国内市場での価格競争が激化する恐れがあります。
ただし、「JDM旧車」として人気のある車種については、輸出需要維持により高値で取引される傾向が続くと予想されるでしょう。
為替変動と輸出コストの関連性

トランプ大統領の政策は、関税だけでなく為替相場にも影響を与える可能性があります。
円ドルレートの変動は、中古車輸出ビジネスにとって非常に重要な要素となります。
ドル高になれば、日本の中古車がアメリカのバイヤーにとって買いやすくなるというメリットが生じます。
しかし、関税が大幅に上がれば、為替のメリットを打ち消してしまう可能性もあります。現在の円安傾向は輸出にとってプラスの要素ですが、関税の大幅引き上げにより相殺される恐れがあります。
輸出業者としては、為替リスクヘッジと関税コストを総合的に考慮した輸出戦略を立てる必要があります。
また、為替の動向を注視しながら、最適なタイミングでの輸出を検討することが重要になるでしょう。
今後の展望:対応策とビジネスチャンス

今回の関税政策の変更は、一見すると日本の中古車輸出業界にとって大きな打撃のように思えますが、新たなビジネスチャンスも生まれる可能性があります。
まず、25年以上経過した車両が追加関税の対象外となることで、「JDM旧車」に特化した輸出ビジネスの重要性が高まるでしょう。
先ほども触れましたが、2000年以前に製造された日本車、特にスポーツカーや軽トラックなどの人気モデルは、アメリカ市場での需要が継続すると予想されます。
また、日本メーカーが北米市場向けの生産をアメリカ国内で増やす可能性があることから、「JDMらしい日本車」の希少性が増し、本物のJDMカーがますます価値を持つ可能性もあります。
輸出業者としては、25年ルールを踏まえた長期的な在庫計画や、アメリカ以外の輸出先の開拓も重要になってくるでしょう。
アジアやオセアニア、中東などの市場では、日本の中古車に対する需要も高まっています。
まとめ:変化する環境への適応が鍵

トランプ大統領の新たな自動車関税政策は、日本の中古車輸出業界に大きな影響を与えることは間違いありません。
しかし、「25年ルール」として25年以上経過した車両への追加関税免除措置により、その影響は部分的に緩和される見込みです。
2000年以前に製造された「JDM旧車」については従来通りの関税が適用されるため、このセグメントに特化した輸出ビジネスには引き続き可能性があります。一方で、比較的新しい中古車の輸出については、25%の追加関税という大きな障壁が生じることになります。
今後、輸出業者は為替動向や関税政策の変更を注視しながら、柔軟な対応策を講じる必要があるでしょう。
「JDM旧車」の価値向上や新たな市場開拓など、環境変化をビジネスチャンスに変える発想が求められています。
日本からアメリカへの中古車輸出は、25年ルールという独特の規制と新たな関税という二重の制約の中で、今後も戦略的な取り組みが必要とされる業界であり続けるでしょう。
日本からの中古車輸出は、世界中で高い需要がありますが、成功させるためにはいくつかの重要なポイントを押さえておく必要があります。
まず、市場ニーズを正確に理解し、それに合った車両を選定することが重要となります。
また、上記でお伝えした「25年ルール」や、細かなルール等の調査、そして正確な手続きが求められるのが中古車輸出の難しい所です。
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