
オーストラリアは、日本の中古車に対する需要が見込める輸出先のひとつです。広大な国土を移動するために車が欠かせない地域も多く、耐久性や信頼性の高い日本車は、現地でも注目されやすい傾向があります。
特にトヨタ、ホンダ、日産、三菱などの日本メーカーは認知度が高く、商用車、SUV、ハイブリッド車、スポーツカーなど、用途に応じて幅広い車種が検討されています。
一方で、オーストラリアへの中古車輸出では、車両の輸入許可、検疫、アスベスト確認、エアコンガスに関する規制、GSTやLCTなどの税金を確認する必要があります。人気車種だからといって、必ず輸出や現地登録ができるとは限りません。
この記事では、オーストラリアの中古車市場の特徴や人気車種、輸出に必要な手続き、費用や税金、注意点を解説します。日本からオーストラリアへ中古車輸出を検討している方は、事前確認の参考にしてください。
1.オーストラリア中古車輸出の基本
オーストラリアへの中古車輸出では、日本国内で車両を仕入れ、輸出に必要な手続きを行ったうえで、船便によって現地へ輸送します。その後、オーストラリア側で輸入通関、検疫、必要に応じた整備や検査、登録手続きなどを進めます。
ただし、オーストラリアでは道路車両の輸入に関する制度が設けられており、すべての中古車を自由に輸出できるわけではありません。車両の年式、仕様、用途、輸入ルート、現地での登録条件などによって、輸入可否や必要な手続きが変わります。
そのため、オーストラリア向けに中古車を輸出する際は、以下のような点を事前に確認することが重要です。
- 輸入許可を取得できる車両か
- 現地で需要が見込める車種か
- 検疫や清掃の基準に対応できるか
- アスベストやエアコンガスなどの規制に問題がないか
- 関税、GST、LCTなどの税金を含めて採算が合うか
- 現地での登録や販売まで見据えた費用計算ができているか
中古車輸出では、車両を安く仕入れることも大切ですが、それだけでは十分ではありません。現地の制度や需要を踏まえて、輸出後に問題なく販売・登録できる車両を選ぶことが求められるため注意しましょう。
2.オーストラリアの中古車事情

オーストラリアでは、都市部だけでなく郊外や地方でも車が重要な移動手段として利用されています。国土が広く、地域によっては公共交通機関だけで移動しにくいため、日常生活や仕事において車の必要性が高い国といえるでしょう。
また、長距離移動やアウトドア、商用利用などの需要もあり、耐久性や実用性の高い車が選ばれやすい傾向があります。特に日本車は、燃費性能、故障の少なさ、部品の入手しやすさなどの面から評価されやすく、中古車市場でも一定の需要が見込まれています。
オーストラリアの中古車市場では、SUVやピックアップ、バン、商用車、ハイブリッド車などが注目されやすい傾向がある一方で、都市部ではコンパクトカーやハイブリッド車の需要もある等、用途や地域によって求められる車種が異なります。
ただ、オーストラリアでは輸入車に対する規制があるため、現地で人気がある車種でも、制度上輸入しにくいケースがあります。中古車輸出を行う際は、需要だけでなく、輸入許可や現地登録の条件もあわせて確認することが大切です。
3.オーストラリアで日本の中古車が選ばれる理由
オーストラリアでは、日本の中古車が一定の需要を持っています。ここでは、日本車が選ばれやすい主な理由を解説します。
3-1. 信頼性が高いと評価されやすい
日本車は、故障の少なさや耐久性の高さが評価されやすい車両です。オーストラリアでは長距離を走る機会も多いため、安定して走行できる車は選ばれやすい傾向があります。
特にトヨタやホンダ、日産、三菱などは現地でも認知度が高く、部品の流通や整備面でも安心感を持たれやすいブランドです。
3-2. 燃費性能に優れた車種が多い
ハイブリッド車やコンパクトカーなど、燃費性能に優れた日本車は、日常利用を重視するユーザーにとって魅力になりやすい車両です。
ガソリン代や維持費を抑えたい層にとって、燃費の良さは車選びの重要な判断材料になります。都市部での通勤や買い物など、日常利用を想定した中古車では、燃費性能の高い車種が検討されやすいでしょう。
3-3. 商用車やバンの需要がある
オーストラリアでは、商用車やバンの需要も見込まれます。配送、建設、観光、送迎、キャンピング用途など、さまざまな目的で実用性の高い車が求められています。
特にハイエースのような車両は、荷室の広さや耐久性、用途の幅広さから、海外でも人気の高い車種です。商用利用だけでなく、キャンピングカーのベース車両としても検討されることがあります。
3-4. スポーツカーや希少車の需要もある
シドニーやメルボルンなどの都市部では、日本のスポーツカーや希少車に関心を持つユーザーも一定数いることから、日本国内で流通している車両の中には、海外の自動車ファンから注目されるモデルもあります。
ただし、スポーツカーや希少車は需要がある一方で、輸入条件や登録条件の確認が特に重要であることから、人気が高い車種でも、オーストラリアの輸入制度上、手続きが複雑になる場合があります。
4.オーストラリアで人気の中古車・輸出需要のある車種
オーストラリア向けの中古車輸出では、現地の利用環境や需要を踏まえた車種選びが重要です。ここでは、オーストラリアで注目されやすい車種の傾向を紹介します。
4-1. ハイエース
トヨタのハイエースは、海外でも人気の高い商用車です。大型のボディと広い荷室を備えており、配送、送迎、商用利用、キャンピング用途など、幅広い目的で活用しやすい車両です。

オーストラリアでは長距離移動やアウトドア需要もあるため、実用性の高いバンは検討されやすい傾向があります。耐久性や整備性の面でも評価されやすく、中古車輸出において注目される車種のひとつです。
4-2. フィット ハイブリッド
ホンダのフィット ハイブリッドは、コンパクトな車体と燃費性能の良さが特徴です。都市部での日常利用に適しており、維持費を抑えたいユーザーにとって検討しやすい車種といえます。
オーストラリアではSUVや商用車の需要が高い一方で、都市部ではコンパクトカーやハイブリッド車への需要もあります。燃費性能や扱いやすさを重視する層に向いている車種です。
4-3. カローラフィールダー ハイブリッド
トヨタのカローラフィールダー ハイブリッドは、乗用車としての使いやすさと荷室の広さを兼ね備えた車種です。日常利用だけでなく、荷物を積む機会が多いユーザーにも適しています。
トヨタブランドはオーストラリアでも認知度が高く、燃費性能や信頼性を重視するユーザーにとって魅力になりやすいでしょう。
4-4. SUV・4WD車
オーストラリアでは、SUVや4WD車の需要も見込まれます。広大な国土やアウトドア文化、地方部での利用環境を考えると、悪路や長距離移動に対応しやすい車は選ばれやすい傾向があります。
ランドクルーザー、プラド、RAV4、エクストレイル、パジェロなどのように、耐久性や走行性能を重視した車種は、用途によって需要が期待できます。
4-5. スポーツカー・趣味性の高い車
オーストラリアには、日本のスポーツカーを好む層がいることから、状態の良い車両や希少性の高いモデルは、現地の自動車ファンから注目される傾向にあります。
ただし、スポーツカーは車種ごとに輸入条件や登録条件を確認する必要があるため、SEVSの対象かどうか、現地で登録可能かどうかを事前に確認したうえで、仕入れを行うようにしましょう。
なお、人気車種であっても、オーストラリアの輸入制度上、必ず輸出・登録できるとは限りません。実際に輸出を検討する際は、車種ごとの輸入可否、年式、グレード、現地での登録条件を確認する必要があるので、ご注意ください。
5.オーストラリアへ輸出できる中古車の主な条件
オーストラリアへ中古車を輸出する際は、車種の人気だけでなく、輸入制度上の条件を満たしているかを確認する必要があります。日本で人気のある車や現地で需要がある車でも、条件を満たしていなければ輸入や登録が難しくなる場合があるからです。
特に確認したいのは、輸入承認を取得できるか、SEVSの対象車両に該当するか、25年以上前に製造された車両として扱えるかなど、現地の安全基準や登録要件に対応できているか否かを判定する部分となります。
5-1. 輸入承認を取得できるか
オーストラリアへ道路車両を輸入する際は、原則として事前に輸入承認を取得する必要があります。輸入承認がないまま車両を船積みすると、現地到着後に通関や引き渡しができず、保管費用や追加対応が発生する可能性があるからです。
そのため、車両を仕入れる前、または船積み前の段階で、輸入承認の取得可否を確認しておくことが重要となります。
5-2. SEVS対象車両か
SEVSは、Specialist and Enthusiast Vehicles Schemeの略で、専門性や希少性のある車両を輸入するための制度です。日本のスポーツカーや特定のグレード、現地で販売されていない車両などが対象になる場合があります。
ただし、SEVS Registerに掲載されている車両であっても、それだけで自由に輸入できるわけではありません。実際には、Model Reportの有無やRegistered Automotive Workshopでの対応可否なども確認する必要があります。
5-3. 25年以上前の車両か
製造から25年以上経過した車両は、クラシックカーや旧車として輸入を検討できる場合があります。日本の旧車や希少車は海外で人気を集めることもありますが、状態や書類、現地での登録条件を確認する必要があるからです。
古い車両は、アスベスト部品や排ガス、安全基準などの確認も重要になります。年式だけで判断せず、現地側で必要な対応を確認しておくと安心でしょう。
5-4. 現地登録まで対応できるか
オーストラリアへ中古車を輸出する場合、車両を現地へ到着させるだけでは完了ではありません。輸入通関、検疫、必要な整備、コンプライアンス確認、州・準州での登録手続きまで進める必要があります。
そのため、輸出前の段階で、現地登録までの流れや費用を把握しておくことが大切です。車両価格や輸送費だけで採算を判断すると、後から想定外の費用が発生する可能性があるため、注意しましょう。
6.オーストラリア中古車輸出の流れ
オーストラリアへの中古車輸出は、日本国内での手続きとオーストラリア現地での手続きに分けて考えると整理しやすくなります。そのためここでは、日本国内での手続きとオーストラリアでの手続きをそれぞれ紹介したいと思います。

6-1. 日本国内での手続き
車両の購入
自身で所有している車もしくは中古車オークション等で車両を購入します。輸出できる車種は限定されているため、事前に確認が必要です。
日本国内陸送費用
最寄りの港に車を届ける必要があります。自身で搬入する場合は費用負担がありませんが、通常は陸送費用がかかります。
登録抹消→輸出抹消手続き
国内で登録されている自動車は登録情報の抹消手続きが必要です。
輸入許可申請と輸入許可取得(輸入者が行う必要があります)
ROVERのオンラインサイトで申請し、承認に通常2週間程度かかります。車両によっては1ヵ月以上掛かる場合もあります。
清掃・検査等
オーストラリアの法律に合致するよう車内外の清掃、輸入者がライセンスをお持ちでなければエアコンガスの除去、年式によってアスベストのチェックが必要です。有料です。
輸出通関などシッピングサービスの利用
出港により費用が異なります。
海上保険代
車両評価額の1-2%程度で保険の加入は任意です。
海上運賃
仕向け地、車種、車両サイズにより変わります。
なお、日本国内からの中古車輸出に関しては以下の記事で網羅的に解説しておりますので併せてご確認ください。
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6-2. オーストラリア側での手続き
輸入承認証明の提出
車両が到着したら、事前に承認されている証明を提出します。
関税と消費税(GST)の支払い
関税とGSTを支払います。
輸入通関
輸入通関書類を現地税関に提出し受理される。通関料・シッピングサービス料等が掛かります。
検疫検査
車両は検疫検査を受ける必要があります。日本で輸出前に認可された業者による洗浄と検査を受けている場合、検査が軽減されます。有料です。
コンプライアンスセンター(輸入車検場)までの陸送代
車両をコンプライアンスセンターまで運ぶ費用がかかります。
コンプライアンス料
車種により異なります。
車両登録手続き
車両の登録手続きを行います。
その他陸送代
必要に応じて追加の陸送費用が発生します。
保険手配
車両の保険を手配します。
7.オーストラリアでの関税と税金について
日本からオーストラリアに中古車を輸入する際の手続きと税金については以下の通りです。
7-1.輸入消費税 (GST)
輸入車には10%の消費税 (GST) が課されます。
GSTは、車両のカスタムバリューに関税を加えた合計額に対して計算されます。
7-2.ラグジュアリーカー税 (LCT)
高級車の場合、ラグジュアリーカー税 (LCT) が適用されることがあります。
LCTは、特定の価格を超える車両に対して課される税金で、通常は33%です。
これらの手続き、かかる費用、税金などなど、順守することでスムーズにオーストラリアへ中古車を輸出することができます。
なお、手続きの他にも関税や消費税なども考える必要がありますので、上記は一般的に必要な項目であると覚えておくと良いでしょう。
8.オーストラリア中古車輸出で注意すべきポイント
オーストラリアへの中古車輸出では、通常の輸出手続きに加えて、現地特有の規制や確認事項があります。ここでは、特に注意したいポイントを解説します。
8-1. 輸入許可を取得してから船積みする
オーストラリアへ中古車を輸出する際は、輸入許可を取得してから船積みを進めることが重要です。輸入承認なしで車両を到着させると、通関で引き渡しができなかったり、保管費用が発生したりする可能性があります。
仕入れや船積みを急ぎたい場合でも、輸入可否の確認を後回しにするのは避けた方がよいでしょう。
8-2. 検疫に備えて車内外を徹底的に清掃する
オーストラリアは外来生物や病害虫の侵入を防ぐため、輸入車両に対する検疫を厳しく行っています。車両の下回り、タイヤ、エンジンルーム、車内、トランクなどに土や植物片が残っていると、追加対応が必要になる場合があるからです。

そのため、輸出前の清掃が不十分だと、現地での洗浄費用や保管費用が発生し、納期が遅れる可能性もあることから、車両の状態を確認し、必要に応じて専門業者による清掃を行うようにしましょう。
8-3. アスベスト部品の有無を確認する
オーストラリアでは、アスベストを含む製品の輸入に厳しい規制があります。古い車両では、ブレーキパッド、クラッチ、ガスケットなどにアスベストが含まれている可能性があるからです。
特に年式の古い車両や旧車を輸出する場合は、アスベスト部品の有無を確認しておくことが重要です。必要に応じて、部品交換や証明書類の準備が求められる場合もあるため、注意しておきましょう。
8-4. エアコンガス・フロン規制を確認する
車両のエアコンガスに関して、輸入者が必要なライセンスを持っていない場合、輸出前にエアコンガスの除去などが必要になるケースがあることから、オーストラリア側の規制を確認する必要があります。
車両の状態や輸入者の対応範囲によって必要な手続きが変わるため、事前に確認しておくと安心でしょう。
8-5. 人気車種でも輸入できない場合がある
オーストラリアで人気のある車種であっても、輸入制度上の条件を満たしていなければ輸入や登録が難しくなる場合があります。
例えば、現地で需要が高いスポーツカーや希少車でも、SEVS対象かどうか、Model Reportがあるか、Registered Automotive Workshopで対応できるかなどです。
そのため、「売れそうだから仕入れる」のではなく、「輸入できるか」「登録できるか」「利益が残るか」まで確認してから仕入れるようにしましょう。
8-6. 現地登録までの費用を含めて利益計算する
中古車輸出では、車両代金と船積み費用だけで利益を判断すると、想定外の費用が発生する可能性があります。
そのため、関税、GST、LCT、検疫、洗浄、現地陸送、整備、登録費用などを含めて計算することが重要です。
特にオーストラリア向けは、検疫や登録に関する費用が発生しやすいため、余裕を持った見積もりを行うことを意識しましょう。
9.オーストラリア中古車輸出に関するよくある質問
ここでは、オーストラリアへの中古車輸出に関してよくある質問をまとめます。
9-1. 日本からオーストラリアへ中古車を輸出できますか?
条件を満たせば、日本からオーストラリアへ中古車を輸出できます。ただし、道路車両を輸入するには事前の輸入承認が必要です。
車両の種類や年式、用途によって申請ルートが異なるため、船積み前に確認しておく必要があります。輸入承認を取得しないまま車両を現地へ送ると、通関や引き渡しで問題が発生する可能性があります。
9-2. オーストラリアへ輸出しやすい中古車はありますか?
トヨタ、ホンダ、日産、三菱などの日本車は現地でも認知度が高く、需要が見込まれます。また、商用車、SUV、ハイブリッド車、スポーツカーなども、用途に応じて検討されやすい車種です。
ただし、人気があることと輸入できることは別です。実際に輸出する際は、車種ごとの輸入条件や現地登録の可否を確認する必要があります。
9-3. オーストラリアへの中古車輸出ではどのような費用がかかりますか?
主に、車両代金、日本国内の陸送費、輸出書類の作成費、船積み費用、海上保険、関税、GST、LCT、検疫費用、現地でのコンプライアンス費用、登録費用などがかかります。
車種や輸送方法、到着港、現地での整備内容によって総額は変わるため、利益を計算する際は、車両代金と船積み費用だけでなく、現地費用まで含めて確認することが重要です。
9-4. 輸入許可を取る前に車を船積みしても大丈夫ですか?
基本的には避けた方がよいでしょう。オーストラリアでは、道路車両の輸入にあたって事前の輸入承認が必要です。
輸入承認なしで車両が到着すると、通関で引き渡されなかったり、保管費用が発生したりする可能性があります。船積み前に輸入可否を確認し、必要な手続きを済ませておくことが大切です。
9-5. オーストラリア向けの中古車輸出で検疫は必要ですか?
必要です。中古車はオーストラリア到着時に検疫検査の対象になります。車両の外部や内部に土、植物片、虫、種子などが付着していると、追加洗浄や燻蒸などの対応が必要になる場合があるからです。
仮に検疫で問題が見つかると、費用や納期に影響する可能性があるため、輸出前に車内外を丁寧に清掃しておくようにしましょう。
9-6. 個人でもオーストラリアへ中古車を輸出できますか?
個人でも輸出できる可能性はあります。ただし、輸入承認、輸出抹消、船積み、輸入通関、検疫、現地登録など、複数の手続きが必要です。
初めて輸出する場合は、手続きの漏れや追加費用が発生しやすいため、専門業者に相談した方が進めやすいでしょう。
10.まとめ

オーストラリアへの中古車輸出は複雑な手続きが伴います。
上記でお伝えしたもの以外でも、必要な書類や手続き、別途費用などが存在します。
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